陸の海/
長月 猫
いま目の前に
浅い
しかし広い水溜まりができた
やがてそこには
緑か芽吹き
足首くらいの
浅い海となった
しばらくすると
浅かった海は
私の身長ほどの
深い海となった
またしばらくすると
萌える緑から
黄金色の海へと
その姿を変えた
小さな箱が
海へと潜っていった
その小さな箱は
黄金色の海を喰らい
小さくしていった
小さくなる海を見つめながら
私は別れの言葉を紡ぐ
『またね』と……
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