陸の海/長月 猫
 
いま目の前に
浅い
しかし広い水溜まりができた

やがてそこには
緑か芽吹き
足首くらいの
浅い海となった

しばらくすると
浅かった海は
私の身長ほどの
深い海となった

またしばらくすると
萌える緑から
黄金色の海へと
その姿を変えた

小さな箱が
海へと潜っていった

その小さな箱は
黄金色の海を喰らい
小さくしていった

小さくなる海を見つめながら
私は別れの言葉を紡ぐ

『またね』と……
戻る   Point(1)