レモンジュース・ダイアリー(1)/由比良 倖
 
2017年冷月17日(土)
薬を飲んで待っていた。僕は仕事が全然捗っていなかった。ベッドから起き上がり、パジャマの裾を引きずって、椅子に座る。パソコンのディスプレイの向こうでは、青白く電子墨の雨が降り続けていた。カーソルの点滅。レモンジュースのボトルを咥える。空っぽだ。僕は空のボトルを壁に投げる。カーソルの点滅。ガスの切れかけたライターを手の中で回す。ひんやりしている。ライターの中に何かがあるようだ。
白いスピーカーからBj?rkの重いベース音が流れている。静かな方向へ流れていく。幾分は僕の中で渦を作る。溜まりを作る。
書くことは世界で一番楽しいことのひとつだ。音楽を聴くこともまた、世界で一
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