ことばを灯す/
たま
母が架けつづけた、梢の巣は数えきれない。
岐阜のおばあちゃんは産婆さんしてたん?
そうや、満州でな、中国人の村までお産に行ったんや。
引き揚げてくるとき、村の人みんな泣いてなあ。
母とわたしのふるさとはどこにあるのか、
なんて、
想う年頃になったとしても、
そんなことはもう、どうでもいい。
いつ、どこで、年の瀬を迎えても、
母のいる場所が、
わたしのふるさとだった。
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