すみれでいっぱいになった/はるな
 
だれかのためにしたいと思うとき
胸はすみれでいっぱいになった

雨のあとのコンクリートみたいにふしぎに澄んで
すみれでいっぱいになった

そもそものはじまりとして
世界は美しく
ひとはひとりでばらばらだから
ばらばらのすきまがいっぱいになった

望んだり離れたりしながら
愛っていいだけのものじゃないと思う
いいものじゃないと思いながら愛するとき
胸はいっぱいになった
世界じゅうが世界でいっぱいになった


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