心象風景一 きみと/
田中修子
砂漠を
ガイコツのようにやせほそり
足を引きずりながら歩いているきみ
数十年誰とも喋らず
かわききってひん曲がっている
くちびる
ふと砂漠の中に
澄んだ青い
なんにもけがされないような
ちいさなちいさな泉がみえ
そのなかで君がわたしに
抱きしめられていた
ふたりのくちもとに澄んだ笑み
足元から水が
とうとうと
あふれてわいてはとまらない
「泉のわいたのは俺があなたに抱きしめられた日」
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