とらっく8/由比良 倖
 
気球に乗ってきたデジタル・ドラッグを早めの朝食にして、
あなたは、小魚は、食べないの、
とウサギが言う、とても、とても、低い声で、
私は、低血圧、腕の細かい毛を、ぷちぷち抜く度に、
心の軸がぶれて、気が触れて、恐い、です、
私は、気が、狂ってない証拠に、外からの音は、
小鳥だ、小鳥だ、運ばれてくる、
不自然な、優良物件、私だけの、
心の中、木立に囲まれた、形ばかりの、
天国とは、名ばかりの、色のない、
泉、ふかい、
窓の外、
私の頭ん中、真っ暗だ、
流されていく、何ものもない…。
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