その途中/霜天
道順を、思い出している途中
まだまだ、窓が開かないので
軋むような音が聞こえて
当り障りの無い、そんな
眠れない夜がありました
覚えている
草の葉の匂いと
爪先立ちで空に消えていくあなた、と
口笛
たまには真似たりしながら
道端
朽ちたその停留所の
ベンチにたたずんで
拾い集めなければと
落ちてしまわないように
バランスを取る姿
繰り返されているのは
足元の僕らの
剥がれ落ちる音
よく眠れるようにと
暖かいミルクの
面影
思い出すための、その途中
触れていた人たちを
この手の中へ
そのために
口笛を
真似てみる
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