お参り/梓ゆい
 
肌寒い空気の中
白い息を吐いて子供が一人
駆け足で通り過ぎた。

幼い頃
父と犬を連れて歩いた
林の中の参道。

鳥の鳴き声と風の音が混じり合い
どこかに連れ去られるような怖さを覚えて
いつもよりも早く
社を目指して走り続けた。





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