舟歌/もっぷ
 
そこにこどもの姿はなく
おとなたちだけが殉ずるかのように 

黄葉のかがやきが干からびた胎児の如く打ち捨てられる頃
までの林檎飴の祭りはいつも 日没をしる港にて
時雨れるまでは兆しのない福音と はじまらない紙芝居
ところが金平糖を配る小母さんがこの夕べ北へ渡っていった
誰からともなく舟歌を口ずさみその刹那だった降り出したとうとう
堰を切ったように海の道から箱舟が流れ着く
いくつも、いくつも、
 いくつも、いくつも、


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