猫/由比良 倖
こう寒うては命もなんだか寂しいようだよ
命ってね、炎のようだけど本当は違うんだ
光ってるけど温度はないんだ、見れば
哀しくて君は首を吊りたくなるよ
今日なんかはね、まだあったかいだろ
そしたら窓を開け放して音楽を聴いたりするじゃんか
真夜中に
そしたら、なんか怖くてさ
見上げられないんだよ、空を
失語しようかと思いました。
失語しようかと思いましたよ。
過ぎ去っていくじゃんか。
あはは。
それがすごく手際よくてさ。
(笑ってしまうんだ)
「その猫ちゃんは何を食べているの?」
「リスパダールです。主に。たまにデパスを食べます」
あのさ。
あの、さ。
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