耳輪/草野春心
 


  歌をたたむ。耳輪(じりん)がひとつ、
  骨いろの水面をもがいて、
  ひしゃげた三日月になりそうな夜
  まだ多すぎた言葉を忙しく折りたたむ
  明日の晩 静けさのおもてに幾つか、
  私たちの掻き傷がみえるはずだ



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