御前崎/5or6
 
幼き子を抱き上げる家族
砂浜に残された砂の山
流されて
海岸に忘れた玩具の車が
寄せては返す

クラクションが鳴り
波の音だけになる頃

ふと
あなたを思い出す

愛することができるだろうか
愛されることを
いつか
あんなにも
側に、側に、側に、側に、
ただそればかり心をそめて
戻りゆく魂の浮島
最後のあなたは深い息をしていて
それはため息じゃないことは
幼かった私にも解っていました

知りたいものが増えて
いらない本ばかり増えて

訥 訥 これは、、とつ

唇を閉じて
思いを
言葉を
心に結ぶ
御前崎の岬に行きたいと呟いた
あなた
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