女について/草野春心
 


  丸い部屋に緑色の女が立っている
  四角い部屋には紫の女が座っている
  どちらの口の中にもセメント状の闇が
  うんざりするほどぎっしり詰まっている
  まるで 言葉の代わりだとでもいうように
  わたしは円形の廊下をずっと回ってあるいて
  何処にも辿り着けないことを忘れようとしている
  


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