Blood on Blood/ホロウ・シカエルボク
い、何も知らない、自分の知らないことを語らなければ意味がない、俺の現実、理性、感覚―あるいは痛覚かもしれない―そんなものをすべて超えたなにかでなければ、こうして弾き出す意味などまるでないのだ、なあ、これは俺だけのものかい、それとも俺以外の誰かにも理解出来るものかい、それはちょっとしたお楽しみでもある、俺のためだけに描かれるものが、誰かのために存在する理由になることがある、そういうのって判るかい、それは不自由な肉体を越えた先にあるものだ、俺はそういう思いを幾度も経験してきたよ―俺にとってこの衝動はこの時だけのために存在するものだ、日付変更線が来る前に片づけてしまわないといけない、一度目を閉じたらきっとまるで違うものに変貌してしまうぜ、一息で書き上げるんだ、なぁ、あんたになら判るだろう、俺に血が流れているってことをさ―。
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