扉の向こう側/小川麻由美
 
慎重に直線らしきものを引いた。
額を拭い後ろを振り向けば、渇ききった土に引かれた石灰は
空気の動きである風によって、宙に運ばれて行く。
直線の存在についての儚さを表現できたと感じた私は
危うい位置に居る、聖セバスチャンの耳元で、存在について聞きたくなった。

存在に思いを馳せる恐怖もしくは安堵感を味わった私であった。



*初めて書いた詩『扉』を、かなり文字数を増やし改稿してみました。
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