『よるのうた』/葉月 祐
春が足元に
一夜限りの花びらの星座を描いた
夏の夜の夢は
浅く長い ひとつの戯曲のようだった
秋に降る火球の
行き着く先は誰も知らないまま
冬の星を瞬かせる
純白の結晶の群れと 幻想的な月光
わたしを揺さぶり続ける夜の姿は
絶え間なく流れ続けている
よるのうたのしらべ
疲れた体を 夜の灯がそっと癒して
傷ついた心は 夜の静けさに包まれる
幸せと悲しみや
喜びと苦しみの曲を
誰もいない夜の世界で
毎夜のように口ずさむ
わたしはいつも
月の真下に立ち
黒
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)