ラブレターは夜に書く/愛心
 
貴方はもう眠っているんだろう。
そのかんばせに疲労と充足感をたたえて
閉じた瞼に縁取られるのは
かさついた睫毛か湿った青紫の隈か その両方か。

声を聞きたい。と
一人、ぽつりと呟いて

無機質に光る液晶を消した。

蝋燭の火の色をした灯りの下で
便箋の上に 下手な字を書き連ねていく。

読み返すつもりもなく。
刻むように綴るのは
燃えるような愛の言葉ばかり。

あの人に見せることはない。
見せられる筈がない。

便箋の可愛らしい柄に相反するように
不恰好に並んだ、わたしの言葉は、想いは

熱く、近づくだけでも恐れをなす
触れてしまえば火傷で済むものか。

その身を、心を、嘗めるように覆い
灰にしても、なお、堪らず
止められない。

溜め込めば息が出来ず
吐き出せば傷つけて

どうしようもなく。

知られたくない。
誰にも見せない。
このまま、隠しておくから、だから。

「       」

飲み込んだその言葉は
星のように燃えていて

その小さく瞬く熱を
隠すように涙で消した。
戻る   Point(7)