秋の羽/田中修子
 
イチョウの葉がこがらしに
金色にかがやいてまいおどる秋の羽だ

地に落ちて
みちゆくひとにふみしめられ
甘いかおりとサリサリの音

音はもしかしたら
いなくなることに
泣きたてているこえなのかもしれないが

みずからをうしなわれたかなしさに
飲み込まれてゆくこともなく
土にしずかにかえってゆくさま

わたしもいずれはあのように
こがらしに
金色にかがやき
まいおどって
みずからをうしなわれて天をめざすだろうか

まだきみどりの残る
イチョウの葉なのだ
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