めぐり 哀歌/ただのみきや
気忙しく男は高みから息を吹きかけた
後退りする光の中でいつまでも己の内を見つめ
色を失くして往く
女を見続けるのは正直もう嫌だった
白く
すべてを
終わりの先の始まりの
まだ始まる前の上塗りされたカンバスへ
死のような眠りで沈潜する
命を早く
つめたくあたたかく
包み込みたくて
昨夜 雨を霙に
そして雪へと変えたのだ
せっかちにも
翌朝は晴れ
薄化粧はすっかりとけて
水たまりが落葉を捕まえる
彼らは波紋で気持ちを伝えた
大きな柳がまだ青々とした枝葉をそっと揺らす
真珠もダイヤも及ばない
朝の光を含んだ無数の玉飾りが
ゆっくりと伝い 落ち
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