身辺雑記2016.11.11/青木怜二
 
胸の空隙に溜まる、波と粒のあわいにある何かを持て余しながら歩き
109を左に折れて道玄坂を登る、此処も午前中は人通りが疎らだとこぼす意識の表面下に
点滅する実家の猫のまろやかな緑のまなざし、日に当たる豊かな毛並みにふれて
流れる綿雲、都市の上にも冬空は高く、真っ青だ。

エクセルシオールの卓上に広げた参考書、不動産登記法上巻のテクストの端に付された条文番号を
たどる指先、手繰る六法、落ちた視力を補うための凝視に発火する私のニューロン・クラスタは
どんな星座を描くのだろう、だがそれも無数の誰かがなぞったかたち
私はすでに用意されたものの恩寵に生かされているにすぎないのだと
脱線した
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