なる/青木怜二
 
すべらかなもの、私から失せて久しく
侘しげにうずく夜ごと、骨に枯れた詩脈を
あらためるように流れる青、

浅い呼吸を徐々に沈めよう。泡のように
無色の生気が立ちのぼるよ。乾くおもてに
色となって。あるいは音に、鳥に。
「なる」ことなんだ。為ってしまえば存外
むつかしいことじゃないんだ。

私の歩行は夜を越えるよ、もう午前二時には
とどまれない。作者の死すら衒うことはない。
蝸牛の這う速度で越境し、脱臼する。
太陽の下ですら焼け死ぬことはないよ、もはや
この身が一個の炉心なればこそ。

言よなれ。ただなれ。ただならぬようになれ。
詩骨はしる電流の青よ、鳴れ。
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