彷徨いの淵/高林 光
 
昼間なのに少し薄暗い北向きのカフェ
観葉植物の傘の下で
大きな背もたれのひじ掛けがついた椅子に深く腰掛け
背中の後ろ、ガラス窓から差し込む少しの陽射し
店内には静かにジャズ

まったく僕は
この椅子がもたらしてくれる平穏を
窓から差し込む薄明かりを
静かなジャズがかすかに揺する心持を
テーブルの横に置かれた大きな観葉植物の
薄黄緑色の葉の裏を見ただけで
楽しめなくなってノートを広げている

これまでにこういう時間が
僕に何かをもたらしてくれたことがあったろうか
傍目からはとても静かでゆっくりと流れている時間の中で
ゆらゆらと揺れる心持をもてあまして
いつも僕は生
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