白い夜または群青の山の/はて
を置き去りにし
て私は火を起こす くっきりと 窓の内歌っ
ている私が電灯に照らし出されている夜の中
で翻す音楽は響かないで途切れる 窓によっ
て それは花ではなかった開かれている明や
いでいるが花ではなかった 夜の影は彼の種
となり指先を濃やかに 私は 星が 見えて
いない 私は夜の森も白い滝も見ることは望
まない部屋 窓で切り離された彼
くっきりと 私が見ている彼は後ろ姿で絵
を描いているところを見ていない私が彼の捉
えた光を見ていない私が彼の描いた指をみて
いない私が彼を見ていない くっきりと 浮
かんでいることを知っている
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