白い夜または群青の山の/はて
彼の視線には光が細かく見えていた 夜が黒
く開いている時に青白い外光に筋を描く 森
の奥に連なる木々は幹だけを残し枝葉は夜に
溶けていて重ねて細かい葉を描く くっきり
と影を描く 迷い込んでいる辺りの森で私は
枝を拾い火を起こす 影が奥まった濃やかさ
を持ち描かれている彼の 一様にへいっと張
り付けられた影 火のほとりで私はそんな影
を作る 彼には必要がなかった明確な灯りだ
ったところ 星が 最後の くっきりと 彼
が 私は望んではいないはずだ
私は雪の積もった屋根を見ていて白く吐かれ
た息は私のものではっきりと消えていってし
まうのを見届けて それからが向こ
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