エンプティー/倉科 然
 
夜11時中央線の窓から見える無数の輝き
あの中に何人の人間が箱詰めになっているのか
金のためか家族のためか社会のボルトか
自室に帰っても虚しいだけの私はそんなことを思う
夜景にごまかされた汚染された空気を吸いながら駅のホームの階段を下る
タバコの空箱がジーンズの中で煩わしい
ゴミ箱に捨ててしまおうか
私の自我も
ゴミ箱に捨ててしまおうか
社会のボルトと化したたくさんの自我たちも
空虚な空箱とともに
戻る   Point(2)