雨の鏡/水菜
 
白く細い指の様な光の線が、つぅぅとガラス面を掠めて
闇の中につらつらと水滴が垂れる
窓ガラスは、鏡となって
幽鬼の様なわたしの顔を映す

ざぁっと、広がっていくような雨の音が
わたしの意識を奪って

瞬間訪れるわたしの中の白い空白に
音は消える

水は、命みたいで

光は、魂みたいで

もし今、わたしの魂が、空に舞い上がるとしたら

わたしは、雨と遊ぶのかしらと

ざぁっと、広がっていくような雨の音を聴き惚れながら夢想する

白い衣を着た面影を何処か知っている風の少女が
肩までの黒髪を揺らしながら楽しげに舞う

あなたも一緒に参りましょうと
わたし
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