秋の夜の夢/塔野夏子
 
んあったから

僕は君を探した
探しているうちにふと アーケードの途切れ目に出たんだ
もうすっかり夜になっていて
びっくりするくらいたくさんの星が頭上にきらめいていたんだ

ああ
ふたたび君を見つけるならこの場所がいいな
そう思っていたら目がさめた

  ねえどうしても思いだせないんだ
  あの街の不思議なきらびやかさも
  最後に見上げた星々の瞬きも
  脳裏にすごくあざやかなのに
  僕といっしょに歩いた
  そして僕とはぐれてしまった「君」は
  いったい誰だったの

起きあがって窓をあけたら
かすかに銀木犀の香りがした



「トワイライト・シンフォニー」は伊藤銀次の楽曲(作詞は銀色夏生)
この詩では必ずしもそのイメージで捉えていただく必要はないのですが
曲をご存じの方は、思い浮かべていただけたら嬉しいです。




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