校庭のふたり/葉月 祐
近所の高校の校庭を
囲む様に佇む木々達は
僕達、紅葉なんてしませんよ!
そう主張しながら
形の無い冬を目の前にして
己の緑の濃さを増しながら
その精神を保っている様だった
しかしその外周の中で
やけに大柄な木が
その身を隠す事も出来ずに
その身を黄金に染めて
ひとり 立っていた
晴れだろうが
雨だろうが
重たい雲が
視界を支配する時でも
その木は凛と立ち
その場を鮮やかに
彩っていた
ある日 外出先から
家へと向かった時
その大きな黄金の木を
違う角度から見た
驚いた事に
その木のすぐ側
隣に隠れる様に
小さな木が
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