殺戮の飛行物/倉科 然
街路樹が錆び始めて秋の雰囲気が充満する
今年は雪が降るだろうかなんて生き急いでる私は
大多数の人々と同じ仮面をつけて今日も歩く
神による精密な作図によって作られた世界を歩く
秋の夜長に鳴く蟲たちの声すら神の図案通りだろうか
だとしたらこの私ですら設計図の一部であり
仮面をつけて歩く人々の乱反射もまた同じか
地球の裏では銃弾が飛び交う無法地帯があると聞いた
地球の裏では神を崇拝して身を焦がす人がいると聞いた
神は設計図を放り投げて寝込んだか
神は設計図を作り間違えて見向きもしないか
どちらにせよ
この世界は捨てられている
この世界は捨てられている
捨てられた世界での自由崇拝は暴力と化し
捨てられた世界での自由崇拝はヒトに武器を持たせた
もう駄目かもなそんな考えが頭をよぎるがこれも神の設計図か
諦めと哀しみがないまぜになった世界で
今日も世界中でミサイルが飛び交っている
この街では秋の気配が人々の乱反射の隙間を埋めている
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