しずく 手のひら/木立 悟
 





曲がり角の雨
踊り場の雨
常に潜む雨
葉を照らす雨


理由もなく
人のかたちをしている蛭が
街を造り
歩きつづけている


空の子蜘蛛
低い青
かすかに触れる
窓に映る髪


目の上の雨から
枝葉がとどき
かたちや色や音は消え
光だけがそよいでいる


水の足跡と影のはざまに
別の街が揺れている
野と荒れ地の向こうには
無数の虹がひらきゆく


踊りと笑みの軌跡のなかを
花を追うように消えゆく子
水の標から外れながら
ひとつの岬 
ひとつの光に振り返る
























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