自我境界線上のアリア/紫音
 
のが揺らいでいく
こんなにも命で溢れているはずなのに
無機質な感覚があたしを分解していく
車窓から見える風景を映写機で見て
それを記憶に焼き付けたときに
残った細切れの風にしなる木々の緑は
あたしと世界との間の「何か」を炙り出す
そこにあるのは現実じゃない現実で
それを見ているのはあたしじゃないあたしで
どこまでも広がる海が閉ざされているように
開放した感覚すらどこにも届かない
世界を作る全てもそこにいるあたしも
ひしゃげて軋みながら崩れゆくリアル
喜びも悲しみも愛も憎しみも一瞬の錯覚
それはとても無意味でとても素晴らしいこと
無機質な有機体が意識という錯覚で
創られたリアルを彩色していく
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