隠された踊り手/
塔野夏子
私の意識の後ろで
踊る私がいる
簡素な服で
裸足で
踊りつづけている
その踊る身体は
現に此処に在る私の身体よりも
ずっとしなやかで
烈しい
私の奥に散る火花のありさまを
真似ようとしているのか
私の意識の後ろで
踊る私がいる
書き割りも 観客もなく
照明も 音楽さえもなく
踊りつづけている
おそらくは 私がその存在を
忘れている時にこそ
極まるのだろう その踊りの美しさは――
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