その傷が疼くために/ホロウ・シカエルボク
 
は孤独を賛美し過ぎる、お前は静寂を賛美し過ぎる、お前は爆音を賛美し過ぎる、アヴァンギャルドを賛美し過ぎる、インテリジェントを賛美し過ぎる、オプティミズムを賛美し過ぎる、ペシミズムを賛美し過ぎる、シニシズムを賛美し過ぎる、ニヒリズムを賛美し過ぎる、アナキズムを賛美し過ぎる、権威を賛美し過ぎる、韻律を賛美し過ぎる、リリックを賛美し過ぎる、ステートメントを賛美し過ぎる、簡潔なものを賛美し過ぎる、冗長なものを賛美し過ぎる、そのどれもを俺は信じなさ過ぎる、イズムは誰かと手を繋ぐための合図さ


壁の亀裂にナイフを差し込んで、乖離した俺に裂傷を与えた、乖離した俺は恨めし気な顔をしたが、大人しく俺の肉体の中に溶けて消えた




そうして、俺の腕には、鋭利な裂傷がひとつ。


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