甕の底から/田中修子
しめ
ホテイさまひとりわらってる
甕は冬のそらうつして冷え鏡
春になったらおとうさん
またあたらしいめだか飼うのだろ
ふふ
おとうさん おかあさん
おにいちゃん いもうとのわたし
家族ってすてきだな
ペットショップを見てこよう
安くていいのをえらびましょ
むなぐるしくなりめをほそめて空仰ぐ
つめたくしずかな夜にはさ
みどりのホテイさまが浮かんどって気づいたんだよ
ここはそこで
わたしはめだかの骨なんね
どうりで肉も薄くなるはずね
ふふ
とてもよろこばしい家族のかばね
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