秋晴れ/はるな
 


開けた窓からの空気がつめたくなってきて
夜はすこんと訪れる
カーテンのふちを流れるのは金木犀
朝焼けにぽとぽと落ちた銀杏。
光を孕んでなおしずかな秋晴れに
かわいた体で転がったみたいな雲たち
ちいさくて、はぐれて、不自由な。
何重にも裸をかくして、
座っても歩いても置きどころなくゆれるのを
駅まえのベンチに繋いでおく
あしたもわたしが、どこかにいるなら
聞いてみようと思う、
冬が来たらどうする?
だからあなたには答えてほしい死ぬよって
思い出みたいにあっさり笑って、
ぱりぱりになった落ち葉、秋空、だれかのための世界、
そりゃあ死ぬよって答えてほしい。


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