空車の灯り/吉岡ペペロ
もし俺がアリなら
昆虫学者はきょう
俺をどんなふうに観察しただろう
観察日誌になんと記しただろう
胸の奥に眠る夢が
きょう陳腐になっちまった
ひとりで歩いて頑張っていたけれど
もう俺の入るスキさえないじゃないか
ウソをついてしかそこにいられないじゃないか
なみだに滲むタクシーの空車の灯り
目が覚めるくらいふつうのイトーヨーカドー
俺ってこんなにくだらなかったっけ
もし俺がアリなら
昆虫学者はきょう
俺をどんなふうに観察しただろう
観察日誌になんと記しただろう
胸の奥にねむる夢が
きょう陳腐になっちまった
ひとりで歩いて頑張っていたけれど
もう俺の入るスキさえないじゃないか
ウソをついてしかそこにいられないじゃないか
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