空車の灯り/吉岡ペペロ
 
もし俺がアリなら

昆虫学者はきょう

俺をどんなふうに観察しただろう

観察日誌になんと記しただろう

胸の奥に眠る夢が

きょう陳腐になっちまった

ひとりで歩いて頑張っていたけれど

もう俺の入るスキさえないじゃないか

ウソをついてしかそこにいられないじゃないか


なみだに滲むタクシーの空車の灯り

目が覚めるくらいふつうのイトーヨーカドー

俺ってこんなにくだらなかったっけ


もし俺がアリなら

昆虫学者はきょう

俺をどんなふうに観察しただろう

観察日誌になんと記しただろう

胸の奥にねむる夢が

きょう陳腐になっちまった

ひとりで歩いて頑張っていたけれど

もう俺の入るスキさえないじゃないか

ウソをついてしかそこにいられないじゃないか









戻る   Point(1)