黒よ 黒/木立 悟
鉄の孑孑が
陽に吸い付く
山羊は飾られ 剥かれ
刎ねられる
空の管が鳴り
青は黙る
三方向に拡がる風景
外のちから 滴の影
淵の淵から
雨が掘り起こされてゆく
暗い手の密
すぎる夜の背
渦に幾度も首を差し入れ
渦の向こうを覗き見ながら
あふれ出る色にすべてを忘れ
渦の意味さえ消えてゆく
音の檻がひっきりなしに降り
街のかたちを見えにくくする
爪切りと広場 消える鳥
縦と縦の水のはざま
棘と棘 血の粒の手
わずかな光を空へ返す手
夜を持ち上げ 染まる手が
目のように髪のようにかがやいてゆく
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