アンドレ・クルツが来るまでは/MOJO
おかれた。
園児たちは、ぼくに従わなくなった。
卒園して、同期の子のほとんどは、谷原小学校に通うようになった。
その小学校に、アンドレはいなかった。
ぼくは、また威張りだした。でも、かつてのような、支配力は持てなかった。
夏休みが終わった二学期の初めに、学級委員を決める投票があった。だれが、学級委員にふさわしいか、配られた紙に書いて、先生に渡すのである。
先生は、投票された子供の名前を言いながら、黒板に「正」の字を書いてゆく。
ぼくの票は、自分で書いた一票だけだった。びっくりした。自分の不人気に唖然となった。
「人生初の挫折」というテーマで、何か書こうとしたら、こうなった。
戻る 編 削 Point(1)