アンドレ・クルツが来るまでは/MOJO
 
、アンドレは、ぼくに従わなかった。園内で、そういう子は、他にいなかったので、ぼくは、アンドレの扱いに困った。
 ある日、アンドレと、言い争いになった。言い争いの途中から、アンドレが、何を言っているのか、分からなくなった。
 今思えば、ドイツ語で、喚いていたのだろう。ぼくは、ドンと、アンドレの胸を突いた。
アンドレは、転んだが、青い目で僕をにらみ、段ボール箱に入っている積み木のひときれを、ぼくに向かって投げた。カツンとぼくの頭に当たった。痛くはなかった。でも、血が出た。
ぼくは、リノリュームの床に、落ちる赤い点々にびっくりし、泣いてしまった。
 以来、長命寺幼稚園は、アンドレの支配下におか
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