まだまだだ/坂本瞳子
 
戒めはどれだけ
必要なのだろうか

自らを許せない気持ちを抱えたまま
墓の下へ入るのか

大したことじゃないさ
失った顧客
失った仕事
失った友
それだけじゃない
信用さえも

崩れ去る砂の城のごとく
一瞬で消え去る
巻き添えにした人たち
費やした時間とお金
気持ち
ストレス
喜怒哀楽

移ろい行く時刻の中で
手の中に残ったものを
握りしめていられるだろうか

もっと高みを目指しているつもりだったのか

蹴落とされないように
人を蹴落とさないように
しっかりと地に足を着けて
ふらつくことなく

まだまだだけれど
戻る   Point(1)