まだまだだ/坂本瞳子
戒めはどれだけ
必要なのだろうか
自らを許せない気持ちを抱えたまま
墓の下へ入るのか
大したことじゃないさ
失った顧客
失った仕事
失った友
それだけじゃない
信用さえも
崩れ去る砂の城のごとく
一瞬で消え去る
巻き添えにした人たち
費やした時間とお金
気持ち
ストレス
喜怒哀楽
移ろい行く時刻の中で
手の中に残ったものを
握りしめていられるだろうか
もっと高みを目指しているつもりだったのか
蹴落とされないように
人を蹴落とさないように
しっかりと地に足を着けて
ふらつくことなく
まだまだだけれど
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