HOLE/ホロウ・シカエルボク
うな気分になった、なに、野生動物なら食えるときに限界まで食っておくものだ…そう、まさにライオンのように低く唸りながらベッドに横になって天井を見上げると、あの肉を買った店を思い出そうとしたが思い出せなかった、別にオカルティックな理由じゃない、本当にそれを思い出せなかったというだけのことで、その店はなにも異空間にある怪しい店なんかじゃない―どうして思い出せないんだろう、と俺は考える、あの肉を買ったときのこと、いや、買った日のことを頭から思い出そうとしてみたが、やはり出来なかった、どうして記憶が欠落しているのか…いくつかに分けて冷凍庫に入れてあったとはいえ、そんなに前のことじゃないはずだった、どうしてか
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