仏の唇を食む/印あかり
 
そうしてお腹を空かせては
仏の唇を食み、人の指を食らう
曼珠沙華咲く薄暮の川岸
醜い心をさらしては
とりとめもなく涙し
あてどもなく歩く

雲は燃えつきて微かな煙へ
吹かれゆく先の名残日へ
少しずつ一つになりゆく、夜に溶け入り
目は意味をなさない。
ふっくらした二粒の悲しみを
ぽちゃり、ぽちゃりと川の底へ

流されてしまえ。
この血に汚れた六腑を濯ぎ
早く早く流れていけ。
取るに足らないだろう輪廻の一周くらい!

咆哮する、頭の大きな化け物
腹が減ったとしか思われまい
哀れな化け物。
いつまで彷徨するのか
このどうしようもなく美しい自然を
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