にゃんこホアキン/白島真
 

 首輪はにゃんこホアキン
 やっぱりきみのものだった
 薄茶のふさ毛もピンクの鼻も
 くらがりのなかで
 たしかに きみのものだった
 痛かったね
 きみのものでなければよかったのに
 それでもちょっとびっくりしただけで
 突然かるくなった体で
 車の尾灯を
 ぷんぷんにらんでいたかも知れない

 ぼくはね ホアキン
 自堕落だよ
 きみの貌はぼくに似ていたそうだ
 悪魔猫 狸猫 ライオン猫
 ぼくはね ホアキン
 きみを愛していたよ 愛しているよ
 クッチャネンコ ふくろう猫 うさぎ猫
 ずいぶん
 たくさんの名前をつけられたものだ
 そうだ ホアキ
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