にゃんこホアキン/白島真
 
 
 にゃんこホアキン
 きみの硬直した屍体はぼくを悲しませた
 にゃんこホアキン
 ふさふさした薄茶のふさ毛とふとい尻尾
 ふた色に変わる不可思議な鳴き声
 覚えているよ にゃんこホアキン
 きみはもの言わぬやさしい友人だった
 きみの要求はいつも自然で
 食べたいと言っては
 鮭の空き缶くわえてくるよ 朝五時に
 遊びたいと言っては
 なんでもころころ転がす 朝二時に     
 出たいと言っては
 窓をがたごと 朝四時に
 それでもホアキン!
 きみの硬直した屍体は
 ぼくを呼び寄せた
 真夜中の道端で
 尻尾はにゃんこホアキン
 きみのものだった

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