僕らが波で出来てるとして/霜天
 
音楽

どこからか楽しげな音楽
両手でばさばさ
と、空を飛んでいくあの子は笑顔
僕はとっておきの切り札を懐に
とっておきなので使わずに
まぶしい頃に目を閉じたり、開けたりする

あまりにも毎日がまぶしいから
サングラスを買おうかな、なんて
考えたりする
波音
耳の奥でいつまでも反響するので
耳栓も、とか


ゆれうごく
そんなものなんだってね
空気と空気の間で
繰り返してるものがすべてらしい

そんなふうに
僕らが波で出来てるとして
ぶつかり合って最後には消えるとして
轟々と響かせる
音楽
口笛の後で空を見上げると
あの子は今日も飛んでいて
まぶしい


どうにも繰り返すばかりで
飽きもせずにそんな具合で
ゆれうごいてる
世界と世界の間
あたりで
寄せたまま返らないあの音は
降り止むことを知らないらしい
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