蛙/5or6
 
小さな疳の虫が鳴く頃、
庭先で裸になってた木はもう若葉をつけている。

大陸の風には白砂が舞う時があって
揺らす木々の枝にあたり
大地に落ちていく
パラパラと小さな白砂が
日向ぼっこをしている蛙の上に落ちていくのだけど
蛙はそのまま動かずに
ケロケロなのかゴロゴロなのか
どちらともいえない鳴き声で
寝ているのか寝ていないのか
わからない表情で座っている。
身体中が砂まみれになり
流石に払ってあげようと背中を触ろうとしたら
蛙はシャ、っとオシッコをしながら
草むらに飛び込んでしまった。

そして
その場所に
小さな砂浜と海が出来ているのを
僕は気付いた。

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