雨/ひびき あきら
 
雨のにおいに 体を浸せば

静かに纏う 蒼い薄靄

淡く響く 空の音色

アスファルトの濡れた瞳が

わたしを見つめている

命のにおいを取り込んだ

空気を体に吸い込めば

私は世界になってゆく

あの日の空は 私の泪

ぽたりとひとつ 雫になって

わたしは空に溶けてゆく

そしてまた 雨が降り   

私が生まれる


戻る   Point(0)