新涼灯火 (三篇からなる オムニバス)/るるりら
がする
あめのむこうがわを見ていた
なにもみえない
むこうがわを
ばかていねいに
見ていた まばたきも忘れて
見ていた
ぼやきも愚痴も嫉みも
わたしを取り囲んでいた
無数の糸が私をとりかこんだ
けれど、けして
わたしは、繭のようにはならなかった
目を閉じようとはしなかったからだ
なにも見えずとも見ようとしていたからだ
空っぽなままを 耐えていたからだ
となりで
目の見えない人が寝ている
おなじように目を閉じることができたなら
ゆめを見えることもできたかもしれなかった
雨音を拍手の音だと思えたかもしれなかった
それでも
見える人でありたかった
なんのあかりも
みつけだすことが できないとしても
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