ホルン/ただのみきや
 
同じ道を歩いた
くり返し歩き
くり返し問い
くり返し答え
水の写経のようになにも
こころの所作だけが
ただ――


くり返し祈った
石の中のロザリオ
沈黙の塵は満ちて
尚も空白へ捧げられる
乾いた蕾の呼吸
ただ――


葦の先の蜻蛉
少女の髪飾り
風の指がもてあそぶ火


橋の上で絵描きの目をした男は
はきだしたけむりがすべてで
願わなかったおそらくなにも


廃屋で笑っている
古い雑誌のグラビアのような恋人が
記憶をめくっても見当たらない
種子を持たない綿毛のような
感触だけ
破裂 して
意識を離脱する


無限の側から

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