竹花/為平 澪
 
先祖代々の墓石の隙間を潜って 緑の節目が
石塔の地下から 企みを生やす

萎れたシキビや花筒の中で息絶えた小菊を
嘲笑うかのように石塔の狭間を一本の青竹が
墓場の敷地すら貫き
天から墓場にいる者たち全てを見下げていた

広がりすぎた葉先の陰から弱い陽射しだけが
苔生した墓石にこぼれている

昨年 父は育ちすぎたその竹を
錆びた大型鋸で根元から切り落とし
傾いた墓石や石塔を真っ直ぐに立たせた後
今春 自分が伐採した竹のように倒れて
この世を去った

初盆 父のために墓掃除に連れ立つ母子
墓下に繁茂する 竹の謀を見抜いた母が
その企み
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